DISCREET CHAIR
椅子の模型を作り終えました。実際のの椅子の制作過程を解説を交えて順次アップします。
材積表は必要な部材をスムーズに加工、作業する為に各部品に幅、長さ、厚み、(仕上がりの寸法と仕上がり寸法が充分に取れる木取り寸法)と数量を書き込みます。
木取り寸法は場合によって違いますが、通常は仕上り幅+10mm 仕上り長さ+30mm 仕上り厚+5〜10mm
くらいが目安です。下に示した表がその例です。
自分が何をすべきか明確にするためにも材積表を作っておくと後の作業が混乱せず、事がスムーズに進みます。 *生業として木工を考える場合はこれに木材の単価の欄を加えれば制作に掛かる材料の単価も計算できます。
■材積表を見ながら各部品を切り出します。
実はこの作業、制作過程で最も経験を必要とする仕事です。木材の性質を良く理解し、どの部品を材料のどの部分から切り出すか決めます。とても重要な段階です。最終的な出来栄えに大きく影響します。
慣れないうちは切り出してしまう前に次の事に留意して、チョークなどでマーキングして充分にシュミレーションしましょう。
■工房の機材、設備でまちまちですが、大規模な機械設備がない事を前提にすると、まず長さを昇降盤や丸ノコで切断、次に幅を昇降盤などで決めます。昇降盤で縦に材を挽く時、木取り段階では材料が荒木のままでねじれが出ていたりして、不安定で危険です。できれば帯鋸を使ったほうが安全です。上の写真はIさんが各部品を木取り整理した所、木取り段階では部品はただの直方体ですから部品名をきちんと書き込み混乱を避けます。
■基準面の管理は木工の作業を進める上でとても大切な仕事です。元々手加工で仕事をしていた時代でもまず、基準面を鉋で定め、そこからけ引きで平行線をケガキ、そのラインを目安に鉋で一定の厚みの板を仕上げていました。器械加工を行なう場合でもこの基準面の管理を怠ると製品の精度、に影響します。先の仕事も考慮に入れてきっちりやりましょう。
■基準面を出すには手押し鉋盤で削ります。ちょうど鰹節削りの様に定盤の下に回転する鉋の刃があります。安全確保の為に写真の様な押し棒などで材料を送るようにします。
■鉋盤の定盤と縦のガイドは直角に調整されています。写真の様にまず材の平面を第一基準面として削り、後で視認できる様、チョーク、鉛筆などでマーク。
■次に第一基準面を縦のガイドに押し付けながら第二基準面を削り、ここにもマーク。
これで第一、第二、基準面を削り終え、その角度は90度になっているはずです。
■第一、第二基準面の角度の精度を確認する為には、写真の様に平らな平面の上に第二基準面を下にして第一基準面同士を向き合わせに置いて、隙間なくピタリと合わされば OKです。
写真は先にお話したけ引き、木工器械もほとんどの場合こうした手工具での作業を効率よく作業する為に機械に置き換えたものです。自動鉋盤で厚みを決める作業も「第一基準面を鉋で削り、その基準面と平行に成る様にけ引きで線を描きそれを鉋で削る」と言う一連の手加工の手順を一回で済ませることができます。
写真の様にガイドを自動鉋盤の定盤、刃物を自動鉋盤の切削面と考えると良く解かるとおもいます。
■さて前置きがながくなりましたが手押し鉋盤で第一基準面と第二基準面が出来上がった材料の厚みを決めていきます。まず第一基準面を自動鉋盤の定盤に押し当て所定の厚みまで削れたら、同様に第二基準面を定盤にあて厚みをきめます。
■自動鉋盤の定盤と刃物は平行に設定されていますからこれで第一基準面、第二基準面それぞれに平行な面が削れます。
■第一基準面と第二基準面が正確に削れていれば、新しく削られた面も正確な直角になり、断面は長方形になります。
■自動鉋盤で作業する時は絶対に運転中に状態を確認しようと材の挿入口を覗いたりしないことです。立ち位置は材の正面をさけます。材は30センチより短いものはさけます。
■短い材を送るときは材の下端を持つと定盤と材に手を挟む危険があります。上端を持つ様にしましょう。
■所定の厚みを決めた部材、こんどは長さを決めていきます。
■この時、注意するのは貫など、同じ胴付き長のものは整理して同じセッティングで加工しましょう。写真は長さの切り揃えられた部材。
■まず胴付き部分に鋸をいれます。工房の設備によって加工方法は様々ですが、うちではこの後ホゾを残して余分な所をカッターで欠き取ります。
■カッターで余分な所を欠き取っているところです。古いタイプの傾斜盤には丸ノコを取り付ける軸が右側に延長されていて、その軸の中心と同じ高さに定盤があり、ホゾ加工が容易にできる便利な傾斜盤がありましたが、今では中古市場を探してもなかなか見つけられません。
■完成したホゾ部分
■面倒でも胴付き部分は先に鋸をいれます。そうしないとカッターで欠き取った後で胴付き部分が汚くなってしまいます。
■Iさんの今回の椅子は部材の形が少し複雑です。それぞれの形に部材を切り抜く前、基準になる面が残っているうちにホゾ穴などは、予め穿っておきます。
■ホゾ穴等の加工が終わった部品をバンドソーやルーター等で切り抜きます。
■各部材が仕上がったら仮組みをしてみます。

■仮組みの段階でホゾの固さや各部材が間違い無く加工されているか確認します。慌てて接着剤などつけて組み立て始めると失敗のもとです。
■初めての場合は一度、仮組みして各部材にアールをとった時のシュミレーション等もします。I さんは肘の形は大まかに決めていましたがこまかいアールの処理はまだ決めかねていました。とりあえず、肘を付け、検討してみました。
ここまでくると、一安心、だいぶ先が見えてきました。後は座面の加工と本番の組み立てです。ほぼ模型のイメージ通りの椅子ができそうです。
■仮組みを済ませ、接合部の不具合など入念に確かめました。ホゾの固さなども予め確かめた後、接着剤をつけ組み立てました。
■もし接着剤などはみ出している場合には早めにとっておきます。
■最後に組み立て時にできた傷や汚れを落とす為に軽くサンディングしてオイル塗装をしました。
■今回はワックス系のブラウンの塗料を2回施し最後に透明なもので仕上げました。木目も鮮やかに綺麗に仕上がりました。
※着色する場合はワックス系の塗料の方が染み込む部分とそうでない所の差が少なく、失敗する可能性が少ないです。
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ディスクリートチェア 森下 真